北海道帯広市の「ばんえい競馬」は、馬がそりをひいて競走する世界で唯一の競馬だ。北海道を開拓した農耕馬の作業に端を発し、その文化を今につないでいる。年の瀬が迫る30日も力自慢の重種の馬は未明から体を鍛え、足回りを冬仕様に整えて舞台に臨んでいた。その1日を追った。
日の出時刻の午前7時ごろ、無数の馬が帯広競馬場のバックヤードで、「朝調教」に励んでいた。巨体はサラブレッドの約2倍で1トンを超える。1歩ごとに空気が揺れる迫力だ。
気温は零下6度。馬の吐息は地面に届き、体中から蒸気が漂った。馬の数が多いため、辺り一帯、霧が立ちこめたかのようだ。
「乗ってみないかい」。
女性の調教師が、そばで馬を…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル